臨床神経学

<シンポジウム(2)―4―4>運動ニューロン疾患の遺伝学:Update

Dynactin 1の機能低下と運動ニューロン変性

勝野 雅央1), 池中 建介1), 河合 香里1), 祖父江 元1)

1)名古屋大学大学院医学系研究科神経内科〔〒466-8550 愛知県名古屋市昭和区鶴舞町65〕

Dynactin 1は各種の蛋白質や小胞の軸索輸送を司るモーター蛋白質である.孤発性ALS患者脊髄前角細胞のマイクロアレイ解析においてdynactin 1の発現が低下していることに着目し,コリン作動性ニューロン(運動ニューロン)特異的dnc-1(dynactin-1の線虫相同体)ノックダウン線虫を作成したところ,著明な運動機能障害を呈し,運動ニューロンの軸索の変性およびオートファゴソームの軸索輸送の著明な低下がみとめられた.Rapamycinとtrichostatinを併用すると表現型.軸索変性が著明に改善した.オートファゴソームの軸索輸送は運動ニューロン疾患の新規治療ターゲットと考えられる.
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(臨床神経, 53:1084−1086, 2013)
key words:筋萎縮性側索硬化症,運動ニューロン,軸索輸送,dynactin 1,オートファジー

(受付日:2013年5月30日)