臨床神経学

<シンポジウム(2)―2―3>パーキンソン病の非薬物療法とエビデンス

パーキンソン病に対するDBS療法―当施設での取り組み―

佐藤 澄人1), 滝山 容子2), 荻野 裕3), 渡辺 克成4), 寺尾 亨5), 松本 千尋1), 知見 聡美6), 南部 篤6), 西山 和利2), 隈部 俊宏1), 藤井 清孝1)

1)北里大学医学部脳神経外科〔〒252-0374 神奈川県相模原市南区北里1-15-1〕
2)北里大学医学部神経内科
3)国立病院機構箱根病院神経内科
4)東京都立松沢病院脳神経外科
5)厚木市立病院脳神経外科
6)生理学研究所生体システム研究部門

パーキンソン病に対するDBS療法には主としてSTN-DBSとGPi-DBSがあるが,どちらを選択するかについては意見がわかれるところである.われわれは術前の認知機能を評価し,術後の認知機能低下のリスクが高いと判断した患者にはGPi-DBSを選択している.DBS手術は局所麻酔でおこなうのが原則であるが,長時間のストレスに耐えられない患者に対しては全身麻酔下の手術も有用である.サルをもちいた実験により,STNの最内側部に辺縁皮質から入力を受ける領域が存在していることが確認され,STN-DBSの際に内側部へ刺激が波及すると情動に影響を与えることが考えられた.DBSの作用メカニズムとして,出力核であるGPiにおける異常な信号の伝達を遮断することにより効果を表すことが示唆された.
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(臨床神経, 53:1053−1055, 2013)
key words:脳深部刺激療法,視床下核,淡蒼球,認知機能

(受付日:2013年5月30日)