臨床神経学

<シンポジウム(1)―4―1>iPS細胞研究の現状と展望

iPS細胞をもちいたパーキンソン病の再生医療

高橋 淳1)

1)京都大学iPS細胞研究所臨床応用研究部門〔〒606-8507 京都府京都市左京区聖護院川原町53〕

パーキンソン病に対しては1980年代の後半から胎児中脳腹側細胞の移植がおこなわれ一定の効果がみられているが,倫理的問題に加え移植細胞の量的,質的問題があり一般的な治療にはなっていない.これらの問題を解決するために幹細胞とりわけES,iPS細胞をもちいた移植治療に期待が寄せられている.分化誘導技術が発達し,ヒトES,iPS細胞から効率的に中脳ドパミン神経細胞が誘導できるようになった.さらには選別技術も開発されつつある.ラットや霊長類モデルへの移植では行動改善が観察されており,臨床での効果も期待される.あとは安全性を厳しく検証すること,万が一腫瘍化がおこったときの対策を立てることが重要になるであろう.
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(臨床神経, 53:1009−1012, 2013)
key words:パーキンソン病,ドパミン神経,iPS細胞,細胞移植

(受付日:2013年5月29日)