臨床神経学

短報

クレブシエラ肺炎桿菌による敗血症・髄膜脳炎に難治性眼内炎が併発した1例

太田 雅彦1)*, 米田 行宏1), 喜多 美穂里2), 市川 桂二1), 影山 恭史1)

Corresponding author: 兵庫県立尼崎病院神経・脳卒中センター神経内科〔〒660-0828 兵庫県尼崎市東大物町1-1-1〕
1)兵庫県立尼崎病院神経・脳卒中センター神経内科
2)兵庫県立尼崎病院眼科(現:国立病院機構京都医療センター眼科)

近年,細菌性髄膜脳炎の死亡率は約20%に低下したが,一方でさまざまな後遺症が残存することがある.糖尿病とアルコール性肝硬変を有する69歳男性が,クレブシエラ肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)による敗血症から髄膜脳炎を発症した.抗生剤治療をふくめた全身管理により神経症状は改善したが,片側性眼内炎を併発して硝子体切除術などの眼科治療を施行した.視力低下は残存したが失明にはいたらなかった.クレブシエラ菌は難治性眼内炎の起因菌として眼科領域では重視されており,本菌の血行感染部位として注意する必要がある.
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(臨床神経, 53:37−40, 2013)
key words:眼内炎,クレブシエラ肺炎桿菌,髄膜炎,脳炎

(受付日:2012年5月14日)