臨床神経学

総説

遺伝性ニューロパチーの診断と分子病態

嶋 博

Corresponding author: 鹿児島大学大学院医歯学総合研究科神経病学講座神経内科・老年病学,鹿児島大学医学部・歯学部附属病院脳・神経センター神経内科〔〒890―8520 鹿児島市桜ヶ丘8丁目35―1〕
鹿児島大学大学院医歯学総合研究科神経病学講座神経内科・老年病学
鹿児島大学医学部・歯学部附属病院脳・神経センター神経内科

Charcot-Marie-Tooth病(CMT)の多数の原因遺伝子に対する診断は,近年の遺伝子検査法の進歩により実施可能となった.われわれは,マイクロアレイ法をもちいた診断チップを作製し,CMT1A以外の例に遺伝子検査を実施した.その結果,意外にも診断陽性率は低く,改善が必要であった.そのため,より多くのCMTの原因遺伝子を同定する必要があり,網羅的に配列をえられる次世代ゲノムシークエンス法による解析が有効と思われた.一方,これまでの知見では,CMTの原因は髄鞘構成蛋白,転写因子,髄鞘 軸索蛋白の分解,輸送,代謝,ミトコンドリア,tRNA合成酵素,DNA修復の異常などである.
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(臨床神経, 52:399−404, 2012)
key words:遺伝性ニューロパチー,シャルコー・マリー・トゥース病,遺伝子診断,マイクロアレイ法,リシークエンスアレイ

(受付日:2011年12月26日)