臨床神経学

短報

片側ケープ様分布の感覚障害のみを呈した中心後回梗塞の1例

山下 力, 河村 信利, 鳥居 孝子, 大八木 保政, 吉良 潤一

Corresponding author: 九州大学大学院医学研究院神経内科学〔〒812―8582 福岡市東区馬出3―1―1〕
九州大学大学院医学研究院神経内科学

症例は47歳男性である.脳梗塞の既往がありアスピリン内服中であった.突発性に左の首,肩,上腕,上部体幹のジンジン感を自覚した.神経学的には同部位の表在覚の低下以外に所見をみとめなかった.頭部MRIにて高位の右中心後回に限局性の小梗塞巣が,経食道心臓超音波検査にて卵円孔開存,右左シャント血流がみとめられ,奇異性脳塞栓症がうたがわれた.症状は1週間にて消失し,ワルファリン投与にて退院した.本例のように一側の頸部,上腕,上胸背部に限局し,手や前腕など末端部を侵さないケープ様分布の感覚障害では中心後回高位円蓋部の病変が考えられる.
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(臨床神経, 52:178−181, 2012)
key words:脳梗塞,感覚障害,Penfieldの小人,体性感覚野,precentral knob

(受付日:2011年2月22日)