臨床神経学

短報

こむら返りと遠位筋優位の筋症状を呈した筋原線維性ミオパチーの1例

岡田 洋一郎1)*, 綾木 孝1), 松本 理器1), 伊東 秀文1), 高橋 良輔1), 中野 智2)

Corresponding author: 京都大学医学部附属病院神経内科〔〒606―8507 京都市左京区聖護院河原町54〕
1)京都大学医学部附属病院神経内科
2)大阪市立総合医療センター神経内科

症例は53歳男性である.緩徐進行性の握力低下と両下肢のこむら返りを呈した.明らかな筋萎縮はみとめず,神経電気生理検査でミオパチー様変化と安静時自発放電がみられた.筋生検にて不整形の硝子質封入体,NADHTR染色で酵素活性の脱落,免疫組織化学染色でdesmin,myotilinの筋線維局所の沈着をみとめたことから,筋原線維性ミオパチーと診断した.本疾患は筋病理所見によって診断されるが臨床症状は多彩である.心筋や呼吸筋の障害をきたし重篤な例がある一方で本例のように緩徐進行性に軽微なミオパチーのみを呈するばあいもある.成人発症の遠位型ミオパチーにおいてMFMは鑑別すべき疾患の一つである.
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(臨床神経, 52:774−777, 2012)
key words:筋原線維性ミオパチー,遠位型ミオパチー,desmin,myotilin

(受付日:2012年2月26日)