臨床神経学

原著

日本人clinically isolated syndrome患者の脳MRI所見

田中 正美1)*, 本山 りえ1), 田原 将行1), 田中 恵子2)

Corresponding author: NHO 宇多野病院多発性硬化症センター〔〒616―8255 京都市右京区鳴滝音戸山8〕
1)NHO 宇多野病院多発性硬化症センター
2)金沢医科大学神経内科

日本人clinically isolated syndrome(CIS)患者21例の脳MRI所見を,多発性硬化症(MS)患者の発病時8例と比較した.CISではBarkhof基準の4項目のいずれにも該当しなかったのが11例,1項目のみが7例,2項目が3例であった.MS患者の最初のエピソードでは,Barkhof基準のいずれにも該当しなかったのが1例,1項目が3例,2項目が3例であった.1例のMS患者が発病時に3項目以上を満足した.将来,MSに進展するか否か不明のCIS患者だけでなく,将来,MSに進展する患者でさえ日本人患者では発症時の脳MRI所見が乏しいことが示唆された.
Full Text of this Article in Japanese PDF (261K)

(臨床神経, 52:725−729, 2012)
key words:多発性硬化症,clinically isolated syndrome,MRI,Barkhof基準

(受付日:2011年12月27日)