臨床神経学

日本神経学会賞受賞

筋萎縮性側索硬化症の新規原因遺伝子optineurinの同定

丸山 博文

Corresponding author: 広島大学原爆放射線医科学研究所分子疫学研究分野〔〒734―8553 広島市南区霞1―2―3〕
広島大学原爆放射線医科学研究所分子疫学研究分野

筋萎縮性側索硬化症は運動神経の変性・脱落により筋力低下・筋萎縮をきたす.今回血族結婚の家系で発症したALS患者からのアプローチにより新たな原因遺伝子としてoptineurin(OPTN)を同定した.エクソンの欠失・ナンセンス変異・ミスセンス変異をみいだした.機能的にOPTNはNF-κBの活性を抑制するが,変異により抑制効果は消失した.ミスセンス変異の症例では脊髄運動神経細胞質に抗OPTN抗体陽性の凝集体様構造物をみとめた.さらにSOD1変異例や孤発例においても抗OPTN抗体陽性細胞質内封入体をみとめた.これらの結果はALSに共通した発症機序にOptineurinが関与していることを示唆している.
Full Text of this Article in Japanese PDF (473K)

(臨床神経, 52:1−5, 2012)
key words:筋萎縮性側索硬化症,オプチニューリン,一塩基多型,血族結婚,Nuclear factor kappa B

(受付日:2011年10月25日)