臨床神経学

短報

陳旧性右後頭葉梗塞に左後頭葉梗塞が加わったことにより相貌失認を発症した1症例

岩永 圭介1)3), 佐藤 聡1)*, 佐藤 秀代1), 瀬戸 牧子1), 越智 誠2), 辻畑 光宏1)

Corresponding author: 社会医療法人春回会長崎北病院神経内科〔〒852―8035 長崎県西彼杵郡時津町元村800番地〕
1)社会医療法人春回会長崎北病院神経内科
2)同 放射線科
3)現 油木坂クリニック

症例は66歳男性である.3年前に紡錘状回,舌状回をふくむ右後頭葉の脳梗塞を発症し,左同名性半盲を呈したが相貌失認は発症しなかった.3年後に左後頭葉にさらに新しい脳梗塞を発症し,それとともに相貌失認を発症した.相貌失認の発症に右側一側の後頭葉損傷だけではなく,両側後頭葉損傷が必要であることを示唆した症例と考えられた.
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(臨床神経, 51:354−357, 2011)
key words:相貌失認,両側後頭葉病変,紡錘状回,舌状回,左後頭葉病変

(受付日:2010年7月6日)