臨床神経学

総説

t-PA時代の脳保護療法―Neurovascular unit保護と血管内皮保護―

神谷 達司1)*, 阿部 康二2)

Corresponding author: 神谷医院神経内科〔〒340―0017 埼玉県草加市吉町3―1―3〕
1)神谷医院神経内科
2)岡山大学大学院医歯薬学総合研究科生体制御学専攻脳神経制御学講座脳神経内科学

脳梗塞急性期の治療方針としては,脳血流の改善と脳保護という大きな二つの柱がある.脳血流の改善を目的とする治療としては.わが国でも2005年10月1日より発症3時間以内の超急性期治療としてrt-PAを用いた血栓溶解療法がおこなわれてその有用性は示されつつある.一方,脳保護に関してはフリーラジカルスカベンジャーが世界初の脳保護薬として臨床実地の場で使用されている.これからは,rt-PAを用いた血栓溶解療法と神経細胞保護だけではなく神経細胞,脳微小血管,アストロサイト,ミクログリアを合わせたNeurovascular unit protectionを考えた脳保護療法を併用でおこなうことが大切で,その中でも血管内皮保護療法が重要である.
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(臨床神経, 51:305−315, 2011)
key words:脳梗塞急性期,脳保護,血栓溶解,虚血性神経細胞死,治療可能時間域

(受付日:2011年1月13日)