臨床神経学

症例報告

周期性一側てんかん型放電をともない,てんかん性失語重積状態をくりかえした辺縁系脳炎の1例

増田 曜章, 木村 成志, 中村 憲一郎, 岡崎 敏郎, 荒川 竜樹, 熊本 俊秀

Corresponding author: 大分大学医学部総合内科学第3講座〔〒879―5593 大分県由布市挟間町医大ヶ丘1丁目1番地〕
大分大学医学部総合内科学第3講座

症例は51歳男性例で,痙攣,精神症状,感覚性失語をみとめ,入院した.髄液検査で単核球優位の細胞数増多,頭部MRIでは海馬,扁桃体を中心とした左側頭葉内側部,前頭葉眼窩部に病変をみとめ,辺縁系脳炎と診断した.脳波では左半球に周期性一側性てんかん型放電(periodic lateralized epileptiform discharges:PLEDs)をみとめた.経過中に,感覚性失語とPLEDsが同期して出現し,抗てんかん薬の投与にて両者の消失をみとめ,てんかん性失語重積状態と考えられた.辺縁系脳炎の診療をする際,てんかん性失語重積状態も念頭におく必要がある.
Full Text of this Article in Japanese PDF (643K)

(臨床神経, 51:135−140, 2011)
key words:てんかん性失語重積状態,辺縁系脳炎,MRI,周期性一側てんかん型放電

(受付日:2010年8月13日)