臨床神経学

<シンポジウム25―3>めまいの臨床:最近の進歩

脳幹・小脳の血管障害によるめまい

城倉 健

平塚共済病院神経内科〔〒254―8502 平塚市追分9―11〕

半規管や耳石器からの前庭感覚情報は,脳幹に存在する前庭神経核に入力し,視覚や深部感覚などの他の感覚情報と共に身体の平衡維持に役立てられている.小脳は前庭神経核を主として抑制的に制御して,平衡維持機構の調整をおこなっている.脳幹や小脳の血管障害では,こうした中枢前庭機構の破綻によりめまいが生じる.脳幹の血管障害により生じためまいのばあいには,通常明らかなめまい以外の神経症候もともなう.一方,小脳,それもとくに後下小脳動脈領域に生じた血管障害のばあいには,明らかなめまい以外の神経症候をともなわず,しかも末梢前庭障害類似の眼振を呈することがある.こうした眼振の発生機序として,耳石器系前庭動眼反射の脱抑制の関与が推測される.
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(臨床神経, 51:1092−1095, 2011)
key words:後下小脳動脈,小脳虫部,眼振,前庭動眼反射,末梢前庭障害

(受付日:2011年5月20日)