臨床神経学

短報

ダントロレンの有用性が示唆されたけいれん重積発作の1例

日浅 厚則1)*, 佐々木 良元2), 竹内 敏明1), 冨本 秀和2)

Corresponding author: 同心会遠山病院内科〔〒514―0043 三重県津市津新町17―22〕
1)同 心会遠山病院・内科
2)三重大学大学院医学系研究科・神経病態内科学

患者は62歳の男性で,統合失調症のため向精神薬を24年前から内服加療中であった.2010年4月に強直間代けいれんを呈したため,ジアゼパム,フェニトイン,フェノバルビタール投与,ミダゾラム持続静注をおこなったが改善しなかった.しかし,悪性症候群の合併をうたがってダントロレン静注,ブロモクリプチンを経管投与したところ,直後にけいれん発作が消失した.2日後に再発したが,ダントロレン静注後にふたたび発作が徐々に消失した.けいれん重積の寛解にダントロレンが有効であった可能性が示された.
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(臨床神経, 51:777−780, 2011)
key words:けいれん重積,抗てんかん薬,ダントロレン,統合失調症,悪性症候群

(受付日:2011年4月21日)