症例報告
非侵襲的陽圧換気中に合併した皮下気腫・縦隔気腫を，体外式人工呼吸器の併用で治療した遅発型Pompe病の1例
古澤 嘉彦1）＊, 山本 敏之1）, 大矢 寧1）, 三山 健司2）, 鈴木 純子3）, 村田 美穂1）
＊Corresponding author：国立精神・神経センター病院神経内科〔〒187-8551 東京都小平市小川東町4-1-1〕1）国立精神・神経センター病院神経内科2）同 外科3）国立病院機構東京病院呼吸器科
気胸のため最大強制吸気量維持の訓練ができず，呼吸器系コンプライアンスが低下した遅発型Pompe病の39歳女性が，非侵襲的陽圧換気（NPPV）中に皮下気腫・縦隔気腫を合併した．圧外傷を考え，吸気圧を下げたところ低酸素状態になり十分に減圧できなかった．NPPVと体外式人工呼吸器の併用で，吸気圧を十分に下げることが可能になり，皮下気腫・縦隔気腫は治癒した．陽圧換気が必要な神経筋疾患患者の圧外傷治療にNPPVと体外式人工呼吸器の併用が有用であった．呼吸機能が低下し始めた時点で最大強制吸気量維持の訓練をおこなえばこのような事態は回避できた可能性があり，呼吸リハビリテーションの重要性について考察した．
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(臨床神経, 50：306−310, 2010)
key words：非侵襲的陽圧換気, 体外式人工呼吸器, Pompe病（糖原病2型）, 呼吸リハビリテーション（最大強制吸気量維持訓練）, 気胸
（受付日：2009年10月22日）
