臨床神経学

症例報告

てんかん重積状態を呈したWegener肉芽腫症の1例

寺澤 英夫, 田路 浩正, 片岡 敏

Corresponding author:独立行政法人労働者健康福祉機構中国労災病院神経内科〔〒737-0193 広島県呉市広多賀谷1-5-1〕
中国労災病院神経内科

症例は47歳の男性.Wegener肉芽腫症と診断されステロイド療法の経過中に強直間代性けいれん発作とけいれん重積状態を反復した.Gadolinium造影頭部MRIでは篩骨洞に造影効果をもった腫瘍性陰影をみとめ,前頭蓋底を越えて前頭葉下部に浸潤性に進展していた.発作間欠期の脳波では左前頭部に周期性鋭波放電をみとめ,前頭葉病変を焦点とした部分発作が二次性全般化し,てんかん重積状態を呈したと考えられた.Wegener肉芽腫症では副鼻腔病変が前頭蓋底や前頭葉に直接進展する可能性があり,てんかん重積状態をふくむ中枢神経症候の発現に留意すべきである.
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(臨床神経, 50:87−91, 2010)
key words:Wegener肉芽腫症, てんかん重積状態, 強直間代性けいれん, 篩骨洞

(受付日:2009年6月10日)