臨床神経学

症例報告

神経Sweet病に特徴的なHLAタイピングを呈した神経Behçet病の1例

佐藤 万美子1), 米田 誠1)*, 熊切 正信2), 栗山 勝1)

Corresponding author:福井大学医学部神経内科〔〒910-1193 福井県吉田郡永平寺町松岡下合月23-3〕
1)福井大医学部神経内科
2)同 皮膚科

症例は53歳女性で35歳頃より外陰部潰瘍,口腔内アフタと毛のう炎様皮疹をくりかえしていた.頭痛と右片麻痺が出現し,頭部MRIにて基底核,脳幹,大脳白質にかけて異常信号をみとめた.臨床診断基準より不全型神経Behçet病と診断されたが,HLAはB54,Cw1が陽性で,神経Sweet病との鑑別が困難であった.しかし,経過中に下腿前面に結節性紅斑が出現し,その肉眼所見と病理組織所見よりBehçet病と確定診断した.神経Behçet病と神経Sweet病は類似した臨床症状を呈することが多く,HLA-typingのみによる診断は困難であり,両疾患の鑑別に皮膚症状が重要であると考えられた.
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(臨床神経, 49:479−482, 2009)
key words:神経Behçet病, 神経Sweet病, HLA B54, HLA Cw1, 結節性紅斑

(受付日:2009年2月20日)