臨床神経学

原著

若年認知症の発症年齢,原因疾患および有病率の検討―愛知県における調査から―

小長谷 陽子1)*, 渡邉 智之1)2), 小長谷 正明3)

Corresponding author:認知症介護研究・研修大府センター〔〒474-0037 愛知県大府市半月町三丁目294番地〕
1)認知症介護研究・研修大府センター
2)愛知学院大学心身科学部
3)国立病院機構鈴鹿病院

愛知県内のすべての医療機関,介護福祉施設などを対象に,若年認知症の実態調査をおこない,1,092人(男性569人,女性520人,性別不明3人)について原因疾患と有病率を解析した.調査時平均年齢は60.7±7.1歳,発症年齢は55.1±7.8歳であった.原因疾患は全体では,アルツハイマー病(AD)(34.9%),血管性認知症(VD)(34.1%)が多く,次いで前頭側頭型認知症(5.9%),パーキンソン病(3.6%)であった.男性ではVD,AD,FTD,PDの順であり,女性ではAD,VD,FTD,PDの順であった.人口10万人当たりの推計有病率は60〜64歳で男性182.2人,女性150.6人,55〜59歳ではそれぞれ90.6人,81.7人であった.
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(臨床神経, 49:335−341, 2009)
key words:若年認知症, アルツハイマー病, 血管性認知症, 疫学調査, 愛知県

(受付日:2009年1月28日)