臨床神経学

短報

抗GM2抗体活性のあるIgMκ M蛋白とIgMλ抗GM1抗体をともなう多巣性運動性ニューロパチー

荒井 元美1)*, 楠 進2)

Corresponding author:聖隷三方原病院神経内科〔〒433-8558 浜松市北区三方原町3453〕
1)聖隷三方原病院神経内科
2)近畿大学医学部神経内科

57歳の女性例である.約3年前から手のこむら返りと手指,とくに左母指の脱力が徐々に進行した.脳神経は正常であった.小手筋に徒手筋力検査で4程度の脱力と軽度の萎縮,線維束性収縮がみとめられ,四肢の腱反射は消失していた.病的反射や感覚障害はみられなかった.IgMκ M蛋白血症があり,M蛋白は抗GM2抗体活性を示した.一方,GM1とGA1に結合するIgMλ抗体もみられた.運動神経の遠位潜時と伝導速度および感覚神経伝導速度は正常であったが,左正中神経の遠位部刺激によるM波振幅は右の40%であった.前腕内の右尺骨神経に伝導ブロックがみられ多巣性運動性ニューロパチーと診断したが,免疫グロブリン大量静注療法は無効であった.
Full Text of this Article in Japanese PDF (257K) 会員限定

(臨床神経, 49:123−126, 2009)
key words:多巣性運動性ニューロパチー, IgM M蛋白血症, 抗GM2ガングリオシド抗体, 抗GM1ガングリオシド抗体, 2クローン性M蛋白血症

(受付日:2008年9月2日)