臨床神経学

第50回日本神経学会総会

<シンポジウム10―1>神経機能画像の進歩
PETをもちいた脳アミロイドの画像化

岡村 信行

東北大学大学院医学系研究科機能薬理学分野〔〒980-8575 宮城県仙台市青葉区星陵町2-1〕

老人斑の脳内沈着はアルツハイマー病(AD)を特徴づける病理像であり,その生体画像化はAD早期診断における有用な指標となる.11C-PIBを代表とする数多くのβシート結合薬剤がアミロイドイメージング用PETトレーサーとして開発され,軽度認知障害(MCI)の段階での早期診断精度が大幅に向上した.健常成人の中にも本検査で異常所見を示す症例が一定の割合で存在することから,発症前段階でのアミロイドの沈着が示唆される.ただし予後との関係は不明であり,発症前診断法としてのエビデンスを確立するには長期縦断研究による検証が求められる.βシート結合プローブをもちいた本検査は,線維化蛋白の蓄積するアルツハイマー病以外のミスフォールディング病にも応用可能である.
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(臨床神経, 49:922−924, 2009)
key words:アルツハイマー病, アミロイド, PET

(受付日:2009年5月22日)