臨床神経学

症例報告

MRI-T2強調画像が早期診断に有用であった直静脈洞血栓症の1例

斎藤 聡1), 高橋 牧郎1), 野々口 直助2), 太田 剛史2), 高橋 潤2), 松本 禎之1)*

Corresponding author:北野病院神経内科〔〒530-8480 大阪市北区扇町2-4-20〕
1)(財)田附興風会医学研究所北野病院神経センター神経内科
2)同 脳神経外科

直静脈洞血栓症の40歳代男性例を経験した.病初期の頭痛時に,MRI-T2強調画像(T2WI)にて,直静脈洞内に特異なリング状の低信号をみとめた.T2WIは脳静脈血栓症の診断に有用であることはすでに報告されているが,閉塞した静脈洞はこれまで一様な低信号として描出されており,リング状の低信号の報告はない.本例はこの翌日より混迷状態となり,血管造影にて直静脈洞の完全閉塞を確認したが,抗凝固療法により後遺症なく改善した.またT2WIの経時的変化を追うことで,治療効果を確認できた.脳静脈血栓症の早期診断や回復過程の評価に,T2WIが有用である可能性が示唆された.
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(臨床神経, 49:646−650, 2009)
key words:MRI-T2WI, Gradient-echo(GRE), 直静脈洞血栓症, 血管性浮腫, 頭痛

(受付日:2009年7月3日)