臨床神経学

症例報告

亜急性に片側の外転神経麻痺・顔面神経麻痺・三叉神経障害および分節性感覚障害を呈した橋下部海綿状血管腫の1例

山本 良央, 西山 毅彦, 黒川 隆史, 波木井 靖人, 岸田 日帯, 黒岩 義之

Corresponding author:横浜市立大学医学部神経内科〔〒236-0004 横浜市金沢区福浦3-9〕
横浜市立大学大学院医学研究科神経内科学

症例は54歳男性である.右外転神経麻痺,左顔面および左上肢の分節性感覚障害,右末梢性顔面神経麻痺が約半月の経過で進行性に出現した.頭部CTおよびMRIで橋右被蓋に出血性病変をみとめ,脳血管撮影では異常所見をみとめず,海綿状血管腫からの出血と診断した.外側脊髄視床路の内側部障害および腹側三叉神経視床路の障害により,一側型の感覚障害を呈し,右外転神経核付近で右外転神経および右顔面神経が障害されたと考えた.脳幹部病変で分節性感覚障害をおこした症例は散見されるが,本例は脳神経症候をともない,亜急性の経過をとった点が特徴的である.
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(臨床神経, 49:32−36, 2009)
key words:分節性感覚障害, 亜急性, 海綿状血管腫, 外転神経麻痺, 末梢性顔面神経麻痺

(受付日:2008年6月5日)