臨床神経学

短報

メチレンテトラヒドロ葉酸還元酵素(MTHFR)遺伝子異常による若年性脳梗塞の1例

湯浅 直樹1), 石川 達也1), 徳岡 健太郎1), 北川 泰久1), 高木 繁治2)

1)東海大学医学部付属八王子病院神経内科〔〒192-0032 東京都八王子市石川町1838〕
2)東海大学医学部神経内科〔〒259-1193 神奈川県伊勢原市望星台〕

症例は17歳男性である.1歳1カ月の頃左上下肢麻痺が出現し,某大学病院へ搬送され原因不明の急性小児片麻痺と診断された.麻痺は約2週間で改善し,原因不明のまま以後再発なく経過していた.17歳になり頭部外傷で当院へ搬送された.頭部CT施行したところ,右放線冠〜基底核にかけて陳旧性脳梗塞をみとめたため精査をおこなった.その結果,メチレンテトラヒドロ還元酵素(MTHFR)欠損(V/V型)による高ホモシステイン血症と診断された.MTHFR欠損は先天性アミノ酸代謝異常の新生児マススクリーニングで検出されないため,診断が遅れることがあり注意を要する.
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(臨床神経, 48:422−425, 2008)
key words:メチレンテトラヒドロ葉酸還元酵素欠乏, ホモシステイン血症, ビタミンB12欠乏, 葉酸欠乏, 若年性脳梗塞

(受付日:2007年11月15日)