臨床神経学

短報

呼吸障害を呈した延髄外側梗塞の2例

新井 憲俊1), 大淵 麻衣子1), 松久 顕之1), 高橋 祐二2), 高津 成美1)

1)東京逓信病院神経内科〔〒102-8798 東京都千代田区富士見2-14-23〕
2)東京大学神経内科〔〒113-8655 東京都文京区本郷7-3-1〕

高齢発症の呼吸障害をともなった延髄外側梗塞2例を報告した.症例1:86歳,男性.歩行障害,構音障害で発症した.第5病日夜呼吸不全を呈し,気管切開され,人工呼吸器管理を受けた.退院時まで同様であった.症例2:83歳,女性.嚥下障害で発症した.第3病日夜呼吸不全により呼吸器管理を受け,気管切開が施行された.発症8カ月後もCO2は貯留していた.MRI上,病変部位は症例1では比較的大きいが,症例2では小さく,呼吸障害の発症には病変の大きさは関与しないことが示唆された.むしろ嚥下障害をともなうことが特徴的であった.高齢者に生じた嚥下障害をともなう延髄外側梗塞では,発症後数日間は呼吸不全を呈することがあり注意を要する.
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(臨床神経, 48:343−346, 2008)
key words:延髄外側梗塞, 中枢性呼吸障害, 嚥下障害

(受付日:2007年3月26日)