臨床神経学

総説

パーキンソン病に対するニューロモデュレーション

高橋 淳

京都大学再生医科学研究所 生体修復応用分野〔〒606-8507 京都市左京区聖護院川原町53〕

神経機能を修飾して変化させる(ニューロモデュレーション)方法として,広義には薬物治療や遺伝子治療,経頭蓋磁気刺激がある.さらに手術操作によるものとして,深部脳刺激療法(Deep Brain Stimulation:DBS)や細胞移植療法が挙げられる.パーキンソン病に対するDBSでは,淡蒼球や視床下核に電極を挿入して電流を調節することで顕著な運動症状の改善がえられる.このことは,適切な場所を選べば局所の環境を変えることによって神経機能を調節しうることを意味する.脳局所環境を変化させる別の方法として細胞移植が挙げられ,現在は神経幹細胞,胚性幹細胞(ES細胞)などの臨床応用に向けた研究が進められている.
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(臨床神経, 48:233−241, 2008)
key words:深部脳刺激療法, 細胞移植, 神経幹細胞, 胚性幹細胞

(受付日:2008年1月8日)