臨床神経学

症例報告

Octreotideシンチグラフィにより原因腫瘍を発見しえた腫瘍性骨軟化症性ミオパチーの1例

高橋 真1), 融 衆太1), 太田 浄文1), 泉山 肇2), 横田 隆徳1), 水澤 英洋1)

1)東京医科歯科大学医学部付属病院 神経内科〔〒113-8519 東京都文京区湯島1-5-45〕
2)同 内分泌・代謝内科

症例は31歳の女性である.緩徐進行性の近位筋優位の筋力低下ならびに多発骨折をみとめ,血液・尿検査の結果などより腫瘍性骨軟化症ミオパチーをうたがった.各種画像検査などをおこなうも原因腫瘍の発見にいたらなかったが,Indium-111 octreotideシンチグラフィを施行し原因腫瘍を発見した.腫瘍摘出をおこない疼痛,筋力低下はすみやかに改善した.腫瘍性骨軟化症の原因腫瘍は良性で小さく,成長の遅い間葉系細胞からなる腫瘍が多く,一般的な画像検査では検索が困難となる症例が多い.本症例はIndium-111 octreotideシンチグラフィにて腫瘍性骨軟化症性ミオパチーの原因腫瘍を発見しえた本邦初の報告である.
Full Text of this Article in Japanese PDF (426K)

(臨床神経, 48:120−124, 2008)
key words:腫瘍性骨軟化症性ミオパチー, Octreotideシンチグラフィー, 線維芽細胞増殖因子23, 腫瘍随伴症候群, 低リン血症

(受付日:2007年6月6日)