臨床神経学

症例報告

限局性結節性筋炎から好酸球性筋炎へ移行した1例

松瀬 大, 池添 浩二, 重藤 寛史, 村井 弘之, 大八木 保政, 吉良 潤一

九州大学大学院医学研究院脳神経病研究施設神経内科〔〒812-8582 福岡市東区馬出3丁目1番1号〕

症例は72歳男性である.71歳時より両下肢筋に限局性の有痛性結節を形成し,結節の場所を変えて再発寛解をくりかえした.また四肢近位筋,頸筋にも軽度筋力低下をみとめた.血液生化学ではCKの上昇をみとめ,抗Jo-1抗体も陽性であったが,末梢血中の好酸球増多はみとめなかった.当初は臨床的に限局性結節性筋炎と診断したが,その後の筋生検では好酸球の著明な浸潤をみとめ,好酸球性筋炎と診断した.このような限局性結節性筋炎類似の好酸球性筋炎の症例はきわめてまれである.本症例は,一部の好酸球性筋炎が限局性結節性筋炎,多発筋炎と類似の病態をもつ可能性を示唆する症例である.炎症性筋疾患における好酸球の意義を考えるうえで,貴重な症例であると思われた.
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(臨床神経, 48:36−42, 2008)
key words:好酸球性筋炎, 限局性結節性筋炎, 抗Jo-1抗体, 有痛性結節, 多発筋炎

(受付日:2007年4月16日)