臨床神経学

症例報告

中脳橋被蓋部梗塞発症後15日目にmyorhythmiaが出現した1例

篠原 未帆, 辰己 新水, 山本 徹

大阪府済生会中津病院神経内科〔〒530-0012 大阪市北区芝田二丁目10-39〕

症例は72歳の女性で,構音障害,起立困難,複視を訴え入院した.WEBINO症候群,構音障害,体幹四肢失調を呈し,頭部MRIでは中脳橋被蓋ほぼ正中部に急性期梗塞巣をみとめた.発症後数日間中脳幻覚症が出現し,第15病日から頭部・下顎に約1.5 Hz,左上肢に約3.5 Hzのmyorhythmiaが出現したが,口蓋帆振戦の出現は5カ月以後になった.5カ月後の頭部MRIで両側下オリーブ核肥大をみとめた.血管病変発症後早期からmyorhythmiaが出現した報告例はきわめて少数であるためここに報告する.

(臨床神経, 47:507−511, 2007)
key words:ミオリトミー, WEBINO症候群, 中脳幻覚症, オリーブ核肥大, 被蓋, 脳梗塞

(受付日:2007年4月9日)