臨床神経学

短報

頸部血管超音波検査がもやもや病の診断に有用であった1例

安田 千春1), 薬師寺 祐介1), 江里口 誠1), 高瀬 幸徳2), 黒田 康夫1)

1)佐賀大学附属病院内科(神経・筋部門)〔〒849-0937 佐賀市鍋島5丁目1-1〕
2)同 放射線科

患者は,発熱,頭痛,嘔気を主訴とした44歳の男性である.頭部CTで脳室内穿破をともなう視床出血をみとめた.身体所見上は髄膜刺激症候のみをみとめ,神経脱落症状はなかった.入院時の頸部血管超音波検査上,内頸動脈に動脈硬化を有さない起始部狭小化(bottle neck sign)と,内・外頸動脈径の逆転(diameter reversal sign)をみとめたことから,もやもや病をうたがった.最終的に頭部血管造影で成人もやもや病(鈴木の分類;右第4期,左第3期)と診断した.本症例は,頸部血管超音波検査での血管形態の所見がもやもや病発見の初期検査として有用であることを示した.

(臨床神経, 47:441−443, 2007)
key words:もやもや病, 頸部血管超音波検査, 経口頸部血管超音波検査, 脳出血

(受付日:2006年12月28日)