臨床神経学

短報

認知障害で発症した再発性多発軟骨炎の1例

越智 雅之1), 川尻 真和1), 伊賀瀬 道也1), 高田 清式2), 小原 克彦1), 三木 哲郎1)

1)愛媛大学大学院医学系研究科 加齢制御内科学〔〒791-0295 愛媛県東温市志津川454〕
2)同 総合臨床研修センター〔〒791-0295 愛媛県東温市志津川454〕

症例は64歳の男性である.進行性の見当識障害と計算力障害をみとめた.深部腱反射亢進,髄液検査で細胞数14/mm3(単核球優位),蛋白45 mg/dl,脳波検査でびまん性の徐波をみとめた.頭部MRIでは辺縁系や深部白質に多巣性の病変をみとめた.何らかの自己免疫性の脳炎と診断し,ステロイドパルス療法により改善し,退院したが,再発をきたし再入院した.再度パルス療法で改善した.その後細菌性髄膜炎を発症し,治療により軽快したが,結膜炎,多発関節炎,難聴,眩暈,耳介軟骨炎を発症したため,再発性多発軟骨炎と診断した.認知障害は本症にともなう中枢神経血管炎によるものと考えられた.中枢神経血管炎の原因として本症も考慮に入れる必要があると考えられた.

(臨床神経, 47:353−355, 2007)
key words:再発性多発軟骨炎, 認知障害, 耳介軟骨炎, 結膜炎, 中枢神経血管炎

(受付日:2006年10月19日)