臨床神経学

短報

後大脳動脈領域と前脈絡叢動脈領域に梗塞巣を呈した心原性脳塞栓症の1例

植村 順一, 芝崎 謙作, 井上 剛, 井口 保之, 木村 和美

川崎医科大学脳卒中医学教室〔〒701-0192 岡山県倉敷市松島577番地〕

症例は86歳の男性である.意識障害と左片麻痺で発症した.心電図所見は心房細動があり,頭部MRI拡散強調画像で右前脈絡叢動脈領域と右後大脳動脈領域に高信号域をみとめ,頭部MRAで右内頸動脈が描出されず,心原性脳塞栓症による右内頸動脈閉塞と診断した.本例は右後大脳動脈起始部(P1)が低形成であったため,右内頸動脈の閉塞により右後大脳動脈領域と右前脈絡叢動脈領域に脳梗塞を生じた貴重な症例である.

(臨床神経, 47:237−239, 2007)
key words:後大脳動脈領域梗塞, 前脈絡叢動脈領域梗塞, 心原性脳塞栓症, 内頸動脈閉塞, 後大脳動脈起始部(P1)低形成

(受付日:2006年12月7日)