臨床神経学

症例報告

高用量のメシル酸ペルゴリドが著効したパーキンソン病にともなうRestless Legs Syndrome

今村 明子, 坪井 義夫, 田中 美紀, 尾畑 十善, 山田 達夫

福岡大学医学部内科学第5教室〔〒814-0180 福岡市城南区七隈七丁目7-45-1〕

パーキンソン病に合併したRestless legs syndromeにおいて,レボドパや低用量のメシル酸ペルゴリドには反応せず高用量のペルゴリドで症状が消失した症例を経験したので報告する.症例は63歳の男性である.59歳の時,夜間就寝中の右下肢不随意運動と右踵の異常感覚で発症した.その後,動作緩慢,安静時振戦が出現し,翌年にパーキンソン病と診断された.レボドパによる治療を受けたところ,動作緩慢,安静時振戦などのパーキンソニズムの改善はみられたが,夜間の下肢異常運動,異常感覚は改善せず,これらは左下肢にも広がった.終夜睡眠ポリグラフィーでは律動性のある脚運動を頻回にみとめた.メシル酸ペルゴリド150 μg/dayの投与を開始したが,症状の改善をみとめないため,徐々に漸増し750 μg/dayの時点で,自覚症状は消失し,再検した終夜睡眠ポリグラフィーにおいても脚動が著明に減少した.本症例は,パーキンソン病にともなうRestless legs syndromeにおいて高用量のメシル酸ペルゴリド投与が有効である事を示した点で貴重と思われる.

(臨床神経, 47:156−159, 2007)
key words:Restless legs syndrome, 睡眠時律動的脚動(Periodic limb movements in sleep:PLMS), 不眠, パーキンソン病, メシル酸ペルゴリド

(受付日:2006年6月2日)