臨床神経学

短報

三環系抗うつ薬が有効であった成人cyclic vomiting syndromeの1例

服部 学, 上松 則彦, 中澤 秀嘉, 松川 則之, 山脇 健盛, 小鹿 幸生

名古屋市立大学大学院医学研究科神経病態学〔〒467-8601 愛知県名古屋市瑞穂区瑞穂町川澄1〕

症例は30歳の男性である.20歳時から反復性の嘔吐が間歇的に出現し,1〜2週間持続する.Cyclic vomiting syndrome(CVS)の成人例と考えられ,塩酸アミトリプチリンが発作の寛解と予防に有効であった.CVSは,本邦の小児科領域で,従来,周期性嘔吐症,自家中毒,周期性ACTH-ADH放出症候群などと呼ばれていたものを包括する概念で,片頭痛と共通の病態が想定されている.発作性の嘔吐を来す症例の鑑別に当たっては,CVSの成人例が存在し,片頭痛と共通の治療が有効であることを念頭に置く必要がある.

(臨床神経, 46:655−657, 2006)
key words:周期性嘔吐症, 塩酸アミトリプチリン, 三環系抗うつ薬, 腹部片頭痛

(受付日:2006年2月20日)