臨床神経学

短報

両側視床病変による意欲低下,見当識障害で亜急性発症した直静脈洞血栓症の1例

中里 良彦, 園田 健一郎, 千田 美穂, 田村 直俊, 荒木 信夫, 棚橋 紀夫, 島津 邦男

埼玉医科大学神経内科〔〒350-0495 埼玉県入間郡毛呂山町毛呂本郷38〕

症例は45歳の男性である.意欲低下,意識障害が約3週間の経過で亜急性に進行した.頭部MRI T2強調画像で両側視床,左基底核,右側頭葉内部に高信号をみとめた.MR venography(MRV)で直静脈洞の狭小化をみとめ,直静脈洞血栓症と診断した.抗凝固療法,抗浮腫治療をおこない,意識障害は改善したが軽度の認知障害は残存した.本症は臨床症状のみからは脳炎との鑑別が困難で,MRVが診断に有用であった.

(臨床神経, 46:652−654, 2006)
key words:脳静脈洞血栓症, 視床, 直静脈洞, MR venography

(受付日:2006年1月25日)