臨床神経学

短報

Paroxetineによる悪性症候群をきたしたパーキンソン病の1例

濱田 征宏, 宮本 勝一, 稲次 洋平, 鈴木 秀和, 楠 進

近畿大学医学部 神経内科〔〒589-8511 大阪府大阪狭山市大野東377-2〕

選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)Paroxetineによって悪性症候群を生じたパーキンソン病症例を経験した.患者は73歳女性,発病後1年半で重症度Hoehn & Yahr 2度であった.Pramipexole 0.25 mg内服中であったが,うつ症状を併発したためParoxetine 10 mgを開始したところ,内服4日目に高CPK血症をともなう全身筋強剛が出現した.診断基準に準拠して悪性症候群と診断し,状況からParoxetineが原因であると推測した.経過は約1週間の輸液療法にて回復した.神経内科医でも処方機会のあるSSRIが悪性症候群をひきおこす可能性があることに留意する必要がある.

(臨床神経, 46:575−578, 2006)
key words:悪性症候群, Paroxetine, SSRI, パーキンソン病, セロトニン症候群

(受付日:2006年6月9日)