臨床神経学

原著

延髄外側症候群急性期の嚥下障害における疑核の関与〜MRI画像からの検討〜

黒野 裕子1)*, 上坂 義和1), 國本 雅也1), 今福 一郎2)

1)国立国際医療センター神経内科〔〒162-8655 東京都新宿区戸山1-21-1〕
2)横浜労災病院神経内科〔〒222-0036 神奈川県横浜市港北区小机町3211〕
現 帝京大学病院神経内科〔〒173-8606 東京都板橋区加賀2-11-1〕

延髄外側症候群の急性期にみられる嚥下障害の有無が,病変に疑核をふくむことと関連があるか否かをMRI画像をもちいて検討した.対象はMRI上延髄外側に梗塞を確認しえた延髄外側症候群急性期21症例で,嚥下障害をみとめた10例と嚥下障害をみとめなかった11例.MRI画像と解剖学的図譜上の延髄水平断面とを直接比較し,病巣の延髄における高位により4群(上部,中上部,中下部,下部)に分類し,各レベルにおける水平断面の広がりから病巣に疑核をふくむか否かをしらべた.延髄外側症候群では,病巣が延髄吻側で疑核をふくむばあいに嚥下障害をきたしやすい傾向があった.また,疑核の中でも吻側ほど嚥下への関与が強いことが示唆された.

(臨床神経, 46:461−466, 2006)
key words:延髄外側症候群, 嚥下障害, 疑核, MRI

(受付日:2006年1月18日)