臨床神経学

症例報告

同名性四分盲を呈し,外側膝状体を中心とする病変が残存した神経Behçet病の1例

高橋 丈二, 正木 久嗣, 林 孝太郎, 井上 昌彦, 自見 隆弘, 若山 吉弘

昭和大学藤が丘病院神経内科〔〒227-8501 神奈川県横浜市青葉区藤が丘1-30〕

症例は57歳女性である.1985年5月Behçet病不全型と診断された.2004年6月21日より結節性紅斑,6月29日に高熱,頭痛,視野障害が出現し7月1日当科へ入院した.入院時,右下肢の紅斑と左下同名性四分盲をみとめた.HLA-B51陽性,髄液中細胞数と蛋白上昇,IL-6高値をみとめ,頭部MRIでは右視床の下部周囲,視放線,後頭葉に異常信号を,右外側膝状体周囲にはガドリニウム増強効果をみとめた.神経Behçet病急性増悪の診断でステロイド治療を施行した.頭部MRI上の異常信号は右外側膝状体を中心に残存し,同名性四分盲も残存した.神経Behçet病による外側膝状体を中心とした病変で同名性四分盲を呈した本邦報告例はなく貴重であり報告した.

(臨床神経, 46:410−414, 2006)
key words:神経Behçet病, HLA-B51, 外側膝状体, 同名性四分盲, 磁気共鳴画像(MRI)

(受付日:2005年10月3日)