臨床神経学

短報

顕著な左右差を有するlaminar necrosisを呈した低酸素脳症の1例;拡散強調画像を含めた検討

三村 維真理, 井上 智恵, 藤田 恒夫

日立総合病院神経内科〔〒317-0077 茨城県日立市城南町2-1-1〕

症例は67歳女性である.突然の意識障害と左片麻痺をきたし当院へ搬送された.発症14時間後の拡散強調画像で軽度の異常信号をみとめ,入院4日目に片側性のlaminar necrosisが明らかになり,低酸素脳症と診断した.脳血管撮影では右総頸動脈閉塞と左内頸動脈の高度狭窄をみとめ,これら血管病変の存在により血行動態に異常をきたし,laminar necrosisの分布が修飾されたものと思われた.また,低酸素脳症の拡散強調画像での評価においては,発症後早期には病変を過小評価する可能性に留意が必要である.

(臨床神経, 46:342−345, 2006)
key words:低酸素脳症, laminar necrosis, MRI

(受付日:2005年9月26日)