臨床神経学

短報

一次体性感覚野の皮質異形成にともない難治部分発作と皮質反射性ミオクローヌスを示した1例

中川 寧子1), 松本 理器1), 池田 昭夫1), 三國 信啓2), 松橋 眞生3), 花川 隆3), 福山 秀直3), 下濱 俊1)

1)京都大学大学院医学研究科臨床神経学〔〒606-8507 京都市左京区聖護院川原町54〕
2)同 脳神経外科学
3)同 附属高次脳機能総合研究センター

31歳男性例を報告した.6歳より二次性全般化する左足の部分間代発作が出現し薬剤難治となった.発作は左足の触覚刺激で誘発された.神経学的には脱力・感覚障害なく,左母趾に安静時・労作時ミオクローヌスをみとめ,左脛骨神経刺激で巨大SEPとC反射をみとめた.発作時および間欠期には頭蓋頂にてんかん性放電を示し,脳磁図で筋放電に先行する棘波が左足の一次体性感覚野に同定された.3T-MRIで同部位に一致し皮質異形成を示唆する所見がえられた.本例では,限局性の皮質異形成が,内因性・自発性(部分発作)と外因性・刺激過敏性(皮質反射性ミオクローヌス)両者の皮質興奮性をひきおこしたと推察された.

(臨床神経, 46:335−338, 2006)
key words:皮質異形成, 皮質反射性ミオクローヌス, 難治部分てんかん, 脳磁図

(受付日:2005年5月19日)