臨床神経学

症例報告

指腹に感覚障害を呈した高位頸髄脊髄炎の3症例

大本 周作, 佐藤 浩則, 栗田 正, 井上 聖啓

東京慈恵会医科大学神経内科〔〒105-8461 東京都港区西新橋3-25-8〕

指腹に強いしびれを呈し,訴えと同側の高位頸髄背側にMRI T2WIで高信号域をみとめた脊髄炎の3症例を報告した.症例は31歳男性,49歳男性,および52歳女性で,いずれも(1)左右差のある指腹の感覚障害,(2)Lhermitte徴候陽性,(3)手指の深部覚障害をみとめない,といった特徴を共有しており,MRI所見からC2〜3椎体レベルの脊髄背側が責任病巣と考えられた.高位頸髄の横断面における指腹の感覚伝導路の面積が,体表面積に占める指腹の割合に比してきわめて広く,障害を受けやすいものと考察した.

(臨床神経, 46:328−331, 2006)
key words:指腹, 頸髄脊髄炎, 脊髄後索, 体性局在

(受付日:2005年10月19日)