臨床神経学

症例報告

塩酸メチルエフェドリンの長期大量服薬中に発症した若年性脳梗塞の1例

國枝 武伸, 今井 啓輔, 森 貴久, 泉本 一, 高畠 望, 山本 慎司

湘南鎌倉総合病院 脳卒中診療科〔〒247-8533 神奈川県鎌倉市山崎1202-1〕

症例は39歳の男性である.突然の右上下肢の脱力発作で発症し,頭部MRI拡散強調画像で左大脳半球の散在性高信号病変が存在した.神経超音波検査,血液検査,ホルター心電図,脳血管造影検査を施行したが,若年性脳梗塞の原因となりうる異常所見はなかった.本例では塩酸メチルエフェドリンがふくまれている市販の鎮咳去痰薬を20年近く大量に服用しており,脳梗塞の発症に同薬の関与がうたがわれた.本邦ではこれまでに同様の報告がなく,重要な症例であると考えられた.

(臨床神経, 46:274−277, 2006)
key words:メチルエフェドリン, エフェドリン, 若年性脳梗塞, MRI拡散強調画像

(受付日:2005年11月8日)