臨床神経学

短報

硬膜動静脈瘻により片側性舌下神経単独麻痺を生じたと考えられた1例

住田 直子1), 糸川 かおり1), 山元 敏正1), 野村 恭一2), 田村 直俊1), 島津 邦男1)

1)埼玉医科大学 内科学 神経内科部門〔〒350-0495 埼玉県入間郡毛呂山町大字毛呂本郷38〕
2)埼玉医科大学 総合医療センター 神経内科部門〔〒350-8550 埼玉県川越市鴨田辻道町1981〕

症例は51歳の女性である.右耳介後部の拍動性耳鳴りと右側の舌萎縮で発症.脳血管造影で硬膜動静脈瘻(DAVF)による右舌下神経麻痺と診断した.機序としてDAVFによる舌下神経の直接圧迫や,舌下神経の栄養血管である上行咽頭動脈の血流減少にともなう虚血の影響が推測された.片側性舌下神経単独麻痺の鑑別には,まれではあるがDAVFも考慮する必要がある.

(臨床神経, 46:227−229, 2006)
key words:硬膜動静脈瘻, 舌下神経麻痺, 舌萎縮, 耳鳴り

(受付日:2005年3月28日)