臨床神経学

原著

厚生労働省特定疾患治療研究事業臨床調査個人票の旧申請病名(パーキンソン病,脊髄小脳変性症,筋萎縮性側索硬化症)の臨床診断名に関する調査

成田 有吾1)2), 谷口 彰2), 葛原 茂樹2)

1)三重大学医学部附属病院 医療福祉支援センター
2)三重大学医学部神経内科〔〒514-8507 津市江戸橋2-174〕

厚生労働省特定疾患治療研究事業臨床調査個人票の申請病名精度を検討するため,平成15年度に同事業の対象疾患と個人票が改訂されて最初の更新手続実施時に,旧様式でパーキンソン病(PD),脊髄小脳変性症(SCD),および筋萎縮性側索硬化症(ALS)と認定されていた患者の臨床診断名を,記載医師に無記名の質問用紙で回答を求めた.31名(神経学会専門医27名)から678例の回答をえた.旧様式個人票申請病名と臨床診断名の一致率(%)は,PD:90.2,SCD:96.0,ALS:77.8で,関連疾患をふくめたばあいは,それぞれ97.3,96.0,81.5で,PDとSCDでは高かったのに対して,ALSでは相対的に低く鑑別の困難さが示唆された.

(臨床神経, 46:193−198, 2006)
key words:厚生労働省特定疾患治療研究事業, 診断精度, パーキンソン病, 脊髄小脳変性症, 筋萎縮性側索硬化症

(受付日:2005年8月4日)