臨床神経学

短報

歯科処置後に発症したStreptococcus oralis髄膜炎の1例

本田 省二1), 稲富 雄一郎1), 米原 敏郎1), 橋本 洋一郎2), 平野 照之3), 内野 誠3)

1)済生会熊本病院脳卒中センター神経内科〔〒861-4193 熊本市近見5-3-1〕
2)熊本市立熊本市民病院神経内科
3)熊本大学大学院医学薬学研究部神経内科学分野

症例は75歳の男性である.左上顎第1大臼歯の齲歯残根状態にともなう歯肉腫脹に対し歯石除去治療を受けた4日後に意識障害と発熱をきたした.髄液検査ではリンパ球優位の細胞増多,糖減少をみとめ,培養ではStreptococcus oralisが同定された.抗生物質投与により症候はすみやかに改善した.

(臨床神経, 46:154−156, 2006)
key words:細菌性髄膜炎, Streptococcus oralis, 口腔内常在菌, 歯科処置

(受付日:2005年4月18日)