臨床神経学

第47回日本神経学会総会

<シンポジウム7-1>Cryptogenic Stroke
血管内悪性リンパ腫症(IML)

水谷 智彦

日本大学医学部内科学講座 神経内科部門〔〒173-8610 東京都板橋区大谷口上町30-1〕

まれなIMLの位置付けと特徴を概説した.本症は生前診断が困難であるが,最近では治療,とくに全身性化学療法によって一時的に軽快あるいは寛解する症例も報告されている.そのため,治療しうるcryptogenic strokeの一因としてIMLの可能性を念頭に入れておく必要がある.生前診断の手掛かりは,1)原因不明の進行性神経症状(多発脳梗塞,対麻痺,亜急性脳症,focal and multifocal neuropathy),2)血清LDH・soluble interleukin-2Rの高値,髄液の蛋白細胞解離,であり,IMLの可能性があるときは,臨床的病変部位(皮膚,骨格筋,脳など)の生検をおこなうか,末梢血B cellリンパ球のPCR検査で免疫グロブリンパ球のPCR検査(免疫グロブリン再構成遺伝子の遺伝子異常)をおこなって診断し,早期に治療を開始することが重要である.

(臨床神経, 46:895−898, 2006)
key words:血管内悪性リンパ腫瘍, 多発脳梗塞, 対麻痺, 亜急性脳症

(受付日:2006年5月12日)