臨床神経学

症例報告

無菌性髄膜炎で発症した再発性多発軟骨炎の1症例

永島 隆秀1)2), 田中 秀明1)2), 伊藤 雅史1)2), 平田 幸一1), 片山 宗一2), 渡辺 一夫3)

1)獨協医科大学神経内科〔〒321-0293 栃木県下都賀郡壬生町北小林880〕
2)脳神経疾患研究所附属総合南東北病院神経内科〔〒963-8563 福島県郡山市八山田7丁目115〕
3)脳神経疾患研究所附属総合南東北病院脳神経外科

症例は65歳の男性である.髄膜炎で発症し,ステロイドに反応する視力,聴力障害を反復した後に,非びらん性多発性関節炎と両側の耳介軟骨炎をきたした.耳介軟骨生検では,軟骨周囲および皮下結合組織,血管周囲の炎症細胞浸潤をみとめ,再発性多発性軟骨炎と診断しえた.本疾患は,耳,関節,鼻,喉頭,気管などの軟骨組織に反復性炎症をきたす自己免疫性疾患であり,血管炎に起因する多彩な脳実質,脳神経障害を合併するが,髄膜炎の報告は少ない.とくに髄膜炎が先行した報告は本例のほか1例しかなく,貴重な症例と考えられた.

(臨床神経, 46:40−44, 2006)
key words:再発性多発軟骨炎, 無菌性髄膜炎, 血管炎, 視力障害, 聴力障害

(受付日:2005年2月14日)