臨床神経学

原著

Duchenne型筋ジストロフィーに対する間歇的陽圧人工呼吸療法の延命効果と死因の変遷

小長谷 正明1), 酒井 素子1), 若山 忠士1), 木村 正剛1), 久留 聡1), 安間 文彦2)

1)国立病院機構鈴鹿病院 神経内科〔〒513-8501 鈴鹿市加佐登3-2-1〕
2)同 内科

Duchenne型筋ジストロフィーに対する間歇的陽圧人工呼吸療法(IPPV)の延命効果と死因の変化を検討した.非IPPV群84例(死亡74例)の生存曲線中央値20.4歳に対し,IPPV群73例(死亡29例)は31.0歳で,有意に延長していた.平均死亡年齢は非IPPV群19.76±3.47歳,IPPV群25.68±5.18歳で両群間に有意差がみられた(P<0.001).死因の変化は,呼吸不全が非IPPV群59.5%,IPPV群3.4%,心不全はそれぞれ12.2%,37.9%であり,有意な比率の変化をみとめた.呼吸器感染症,他の呼吸器障害,消化管障害が両群とも一定数みられ,IPPV群では呼吸器事故死がみられた.心不全死亡年齢はIPPV群で有意に高かった.これらへの予防と治療法確立が重要と考えられた.

(臨床神経, 45:643−646, 2005)
key words:Duchenne型筋ジストロフィー, 間歇的陽圧人工呼吸療法, 生存曲線, 死因, 呼吸不全

(受付日:2005年2月4日)