臨床神経学

原著

鎮痛薬の高度な乱用による頭痛の長期予後

高瀬 靖, 岸上 仁, 中野 美佐, 巽 千賀夫

市立豊中病院 神経内科〔〒560-0055 豊中市柴原町4-14-1〕

鎮痛薬の高度な乱用による頭痛95例を治療し,1年以上経過した長期予後を検討した.元来の頭痛は片頭痛73例(76.8%),緊張型頭痛18例(19.0%),新規発症持続性連日性頭痛4例(4.2%)であり,69例で1年以上経過後の頭痛の状態を確認できた.鎮痛薬を一度に離断できず,予防薬を投与し徐々に減量した22例は,鎮痛薬を一度に中止した47例とくらべ,予後が大変悪かった.入院で一度に鎮痛薬を中止した22例と外来で一度に中止した25例は予後に差はなかったが,入院群は外来群よりも重症の可能性があった.また片頭痛が緊張型頭痛より予後が良い傾向がみとめられた.鎮痛薬を高度に乱用している症例は,鎮痛薬を徐々に減量していこうとしても予後は悪く,可能であれば入院で一度に中止すべきである.

(臨床神経, 45:629−633, 2005)
key words:鎮痛薬乱用頭痛, 薬物乱用頭痛, 入院治療

(受付日:2004年12月20日)