臨床神経学

短報

Epilepsia partialis continuaで発症した抗グルタミン酸受容体抗体陽性の亜急性脳炎

荒井 元美1), 高橋 幸利2)

1)聖隷三方原病院神経内科〔〒433-8558 静岡県浜松市三方原町3453〕
2)国立病院機構静岡てんかん・神経医療センター〔〒420-8688 静岡県静岡市漆山886〕

Epilepsia partialis continua(EPC)が約5週間続いてから精神症状や意識障害が現れ,更にけいれん重積状態となり,その後徐々に回復した亜急性脳炎の32歳男性例を報告した.血清と髄液にNMDA型グルタミン酸受容体サブユニットGluRε2およびGluRδ2に対する抗体が検出されたことから,自己免疫機序による限局性脳炎がEPCの原因であった可能性がある.病初期にEPC以外の神経学的異常がみられなくても,数週間後から意識障害,けいれん重積状態など重篤な症状が現れる症例があることに留意する必要がある.

(臨床神経, 45:610−612, 2005)
key words:持続性部分てんかん, 亜急性脳炎, 抗グルタミン酸受容体抗体

(受付日:2004年12月22日)