臨床神経学

短報

視神経病変をMRIにて描出できたメタノール中毒の1例

永沢 光, 和田 学, 小山 信吾, 川並 透, 栗田 啓司, 加藤 丈夫

山形大学器官病態統御学講座生命情報内科学分野〔〒990-9585 山形市飯田西2-2-2〕

症例は24歳男性である.意識障害(JCS 300),代謝性アシドーシスがみとめられ,尿中アルコールが強陽性であった.アルコール臭がないことからメタノール中毒がうたがわれ,血液透析が施行された.後日血中メタノール濃度が261.5 mg/dlと異常高値が判明した.第3病日の脳MRI上,両側被殻,大脳白質,小脳半球に壊死性変化をみとめた.STIR法では両側の視神経に腫大および内部のまだら状の信号変化をみとめた.第27病日の同画像では右視神経腫大の残存をみとめた.STIR法においてみとめられた視神経病変は,メタノール代謝産物による細胞内,組織内低酸素状態の結果生じた,脱髄を主体とした変化を反映したものと考えられた.

(臨床神経, 45:527−530, 2005)
key words:メタノール中毒, MRI, STIR, 視神経症, 血液透析

(受付日:2004年10月27日)